2015年09月14日
すずきクリニック健康倶楽部 平成27年秋季号
今年の夏の気候は今までにない猛暑が続きましたが、そのあとは一挙に10℃も下がり厚着が必要な日もありました。そして豪雨で多くの方が被災するという異常気候でした。早く秋晴れの空を見たいものです。
平均寿命が今年も世界一のようです。厚労省の発表によれば女性は86.83 歳で3 年連続世界一、男性も80.50 歳で世界第3位です。このこと自体は大変喜ばしいことですが、今後の余命のことを考え生活設計を立てなければいけません。時々患者さんと話していると「もう80になったからどうでも良いのよ」といった発言がありますが女性の場合なら、80歳の方はまだ10年も生きて生活しなければならないのです。最近よく老後破産といった言葉を耳にします。経済的にももちろん長生きをすることは大変です。年金だけでは苦しいかもしれませんが、健康を維持できないと、もっと辛い老後が来ることになるかもしれません。
「健康寿命」という考えがあります。 健康寿命も日本がトップです。女性が 75.56 才、男性が71.11 才です。健康寿命は介護が必要だったり、日常生活に支障をきたす病気にかかったりする期間を除き自立して生活できる期間を言います。年を取るとどうしても老化が起こります。「ロコモティブ・シンドローム」「フレイル」「サルコペニア」といった聞きなれない言葉が時々新聞などでも見ますが、これらは老化によっておこる肉体的 精神的な障害のまとめのような言葉です。肉体的な衰えを防ぐためには日々の運動が重要であり、重大な病気にならないためには生活習慣病にならないように食事にも注意することが大切なことです。最近 103才になる女流画家の「篠田桃紅」さんのエッセイ 集を読みました。「103 歳になってわかったこと」という幻 冬舎から出版された本です。色々と 100 歳を超えた方の考え方が書かれていますが、参考にしたい考え方が、いくつもあります。「いつ死んでもいい」なんて嘘。歳をとるということは、創造して生きてゆくことで楽しいとは言えないが、マンネリズムにはならない。といっています。人はそれぞれに考え方が違いますが、年をとっても前向きに何か を求めて行きたいものです。たまたま我が家に篠田桃紅さんの絵が一枚あります。100 才の女性が描いたとは思えない力強い直線的な一枚です。参考までに
中年の女性でもちょっとつまづいた位で骨折する方がいます。どうしてこんなことで骨折してしまったのかといった感じですが、比較的骨粗鬆症になっている方が多いようです。ご高齢の方では骨折が命取りになることもしばしばみられます。ご高齢の女性の場合にはほとんどの方が骨粗鬆症になっています。圧迫骨折といって背骨の椎体がグシャっとなってしまい強い痛みを伴い歩行がままならなくなります。また大腿骨が折れてしまうと歩行ができず、手術 をしても寝たきりになってしまう事があります。
このように骨粗鬆症は馬鹿にできない病気です。骨粗鬆症にならないためには食事療法や運動療法が大事です。食事は原料となるカルシウムとカルシウムの吸収をよくするビタミンDをしっかりととるとよいでしょう。カルシウムは1日に 700~800mgの接種が目安です。牛乳 200mlに 220mg含まれます。ヨーグルト、豆腐、ひじき、桜えび、ししゃも、小松菜なども多く含んでいます。ビタミンDはサケ、カレイ、鶏卵、干し椎茸などにたくさん含まれます。運動により骨の量が増えますが、それだけでなく筋肉がつき体のバランスがよくなり転倒がしにくくなる効果が期待できます。 骨粗鬆症は骨形成と骨吸収のバランスが崩れるとなるので す。従来は治療としては骨形成のためにカルシウムやビ タミンDの製剤を、骨吸収を抑える薬と一緒に服用することがスタンダードの治療でした。最近になりいろいろな注 射製剤が開発され従来の治療では十分な効果の得られない 方や重症な骨粗鬆症で骨折を起こした 方に使用するとかなりの効果が得られるようになりました。当院でもビスホ スネートという主に週一回服用する薬 をたくさんの方に使用していただいて いますが、似たような成分の注射剤を1年ぐらい前より使用しています。月に1回の静脈注射ですが、従来の経口薬と比べるとかなり優れた効果があるようです。そのほかにも注射製剤がありますので紹介しておきます。副甲状腺ホルモン薬は骨形成を促進する作用があります。この系統の注射剤は2種類あり一つは糖尿病のインスリンのように自分で毎日注射するものです。24か月続けます。もう一つは週1回皮下注射をする薬で腰椎、大腿骨近位部の骨密度を上昇させ椎体の骨折抑制効果があり、腰痛も抑えることができます。この薬は72回行います。もう一つの注射剤は「デノスマブ」というお薬ですが、これは6か月ごとに皮下注射を行います。ビスフォスネートと同様に骨を壊す働きを抑えます。その他カルシトニン薬 は骨を壊すのを抑えるとともに鎮痛効果があります。注射 嫌いの方でなければ効果は経口薬より強いと考えられます。
10月1日から受けられます。今年はワクチンが3価から4価になり、より効果的な注射剤となりましたが、価格が高くなったため負担金が 2500 円となりました。最近は流行が後れる傾向にありますので、11月以後に接種を受けられることをお勧めします。
すずきクリニック健康倶楽部 平成27年秋季号
今年の夏の気候は今までにない猛暑が続きましたが、そのあとは一挙に10℃も下がり厚着が必要な日もありました。そして豪雨で多くの方が被災するという異常気候でした。早く秋晴れの空を見たいものです。
平均寿命世界一
平均寿命が今年も世界一のようです。厚労省の発表によれば女性は86.83 歳で3 年連続世界一、男性も80.50 歳で世界第3位です。このこと自体は大変喜ばしいことですが、今後の余命のことを考え生活設計を立てなければいけません。時々患者さんと話していると「もう80になったからどうでも良いのよ」といった発言がありますが女性の場合なら、80歳の方はまだ10年も生きて生活しなければならないのです。最近よく老後破産といった言葉を耳にします。経済的にももちろん長生きをすることは大変です。年金だけでは苦しいかもしれませんが、健康を維持できないと、もっと辛い老後が来ることになるかもしれません。
「健康寿命」という考えがあります。 健康寿命も日本がトップです。女性が 75.56 才、男性が71.11 才です。健康寿命は介護が必要だったり、日常生活に支障をきたす病気にかかったりする期間を除き自立して生活できる期間を言います。年を取るとどうしても老化が起こります。「ロコモティブ・シンドローム」「フレイル」「サルコペニア」といった聞きなれない言葉が時々新聞などでも見ますが、これらは老化によっておこる肉体的 精神的な障害のまとめのような言葉です。肉体的な衰えを防ぐためには日々の運動が重要であり、重大な病気にならないためには生活習慣病にならないように食事にも注意することが大切なことです。最近 103才になる女流画家の「篠田桃紅」さんのエッセイ 集を読みました。「103 歳になってわかったこと」という幻 冬舎から出版された本です。色々と 100 歳を超えた方の考え方が書かれていますが、参考にしたい考え方が、いくつもあります。「いつ死んでもいい」なんて嘘。歳をとるということは、創造して生きてゆくことで楽しいとは言えないが、マンネリズムにはならない。といっています。人はそれぞれに考え方が違いますが、年をとっても前向きに何か を求めて行きたいものです。たまたま我が家に篠田桃紅さんの絵が一枚あります。100 才の女性が描いたとは思えない力強い直線的な一枚です。参考までに
粗しょう症の最近の話題
中年の女性でもちょっとつまづいた位で骨折する方がいます。どうしてこんなことで骨折してしまったのかといった感じですが、比較的骨粗鬆症になっている方が多いようです。ご高齢の方では骨折が命取りになることもしばしばみられます。ご高齢の女性の場合にはほとんどの方が骨粗鬆症になっています。圧迫骨折といって背骨の椎体がグシャっとなってしまい強い痛みを伴い歩行がままならなくなります。また大腿骨が折れてしまうと歩行ができず、手術 をしても寝たきりになってしまう事があります。
このように骨粗鬆症は馬鹿にできない病気です。骨粗鬆症にならないためには食事療法や運動療法が大事です。食事は原料となるカルシウムとカルシウムの吸収をよくするビタミンDをしっかりととるとよいでしょう。カルシウムは1日に 700~800mgの接種が目安です。牛乳 200mlに 220mg含まれます。ヨーグルト、豆腐、ひじき、桜えび、ししゃも、小松菜なども多く含んでいます。ビタミンDはサケ、カレイ、鶏卵、干し椎茸などにたくさん含まれます。運動により骨の量が増えますが、それだけでなく筋肉がつき体のバランスがよくなり転倒がしにくくなる効果が期待できます。 骨粗鬆症は骨形成と骨吸収のバランスが崩れるとなるので す。従来は治療としては骨形成のためにカルシウムやビ タミンDの製剤を、骨吸収を抑える薬と一緒に服用することがスタンダードの治療でした。最近になりいろいろな注 射製剤が開発され従来の治療では十分な効果の得られない 方や重症な骨粗鬆症で骨折を起こした 方に使用するとかなりの効果が得られるようになりました。当院でもビスホ スネートという主に週一回服用する薬 をたくさんの方に使用していただいて いますが、似たような成分の注射剤を1年ぐらい前より使用しています。月に1回の静脈注射ですが、従来の経口薬と比べるとかなり優れた効果があるようです。そのほかにも注射製剤がありますので紹介しておきます。副甲状腺ホルモン薬は骨形成を促進する作用があります。この系統の注射剤は2種類あり一つは糖尿病のインスリンのように自分で毎日注射するものです。24か月続けます。もう一つは週1回皮下注射をする薬で腰椎、大腿骨近位部の骨密度を上昇させ椎体の骨折抑制効果があり、腰痛も抑えることができます。この薬は72回行います。もう一つの注射剤は「デノスマブ」というお薬ですが、これは6か月ごとに皮下注射を行います。ビスフォスネートと同様に骨を壊す働きを抑えます。その他カルシトニン薬 は骨を壊すのを抑えるとともに鎮痛効果があります。注射 嫌いの方でなければ効果は経口薬より強いと考えられます。
高齢者インフルエンザ予防接種
10月1日から受けられます。今年はワクチンが3価から4価になり、より効果的な注射剤となりましたが、価格が高くなったため負担金が 2500 円となりました。最近は流行が後れる傾向にありますので、11月以後に接種を受けられることをお勧めします。