2017年07月10日
すずきクリニック健康倶楽部 平成29年夏季号
毎日のように蒸し暑い日々が続き体調の維持に難しい季節です。梅雨が明けて本格的な夏の到来も間もなくと思いますが、毎年のように熱中症が話題になります。ご高齢になると家の中にいても熱中症の危険があります。温度管理をしっかり行い水分を十分にとりましょう
当院に通院している患者さんで糖尿病を有する患者さんは 150 人ぐらい数えられ、高血圧、脂質異常症、胃腸病に次いで多い疾患です。
私が開業した約 25 年前には、糖尿病治療薬といえばインスリン注射とＳＵ剤といわれる経口薬の 2 種類しかない時代でした。ところが 10 年ぐらい前に画期的な DPP-4阻害薬が発売され、また以前からあったビグアナイド薬が再び使われるようになるなど、現在では 7 種類の経口薬と、注射製剤もインスリンに加え GLP-１受容体作動薬が加わり 2 種類の注射薬が使われるようになりました。
色々な薬を駆使して、それぞれの患者さんに会った適切な治療をすることが求められます。糖尿病の検査は一般的には血糖値と HbA1c を測定し、糖尿病の重症度や治療効果を見ることにします。ところがこの検査だけでは一日の間に血糖値がどんな変動を示すかはわかりません。
そこで CGM という検査により 24 時間連続して血糖値を見ることができるようになりました。
この検査には優れたメリットが二つあります。ひとつは、沢山ある治療薬の特徴を実際の血糖値を見ながら実感できるようになることです。
もう一つのメリットはインスリン注射をしている患者さんの低血糖の予防です。昼間は低血糖の特徴である倦怠感、発汗、頻脈などの症状を自覚でき、砂糖を摂取するなど対処が可能です。一方、夜間睡眠中の低血糖は自覚できないことがあり、重篤な低血糖症状を引き起こして救急車で運ばれたり、時には命にかかわることもあります。この検査は夜間の血糖コントロールに大変威力を発揮します。
今までは、この検査をおこなうための施設基準を満たすことができず、一般の開業医にはやりたくともできない検査でしたが、最近新しい器械が開発され 24 時間血糖検査が簡易に出来るようになりました。大変な朗報です。
新しく開発された「リブレ」という器械は上腕部に直径３ｃｍぐらいで厚さ２ｍｍ程度の小さな器械を装着しますと 14 日間 15 分おきに血糖値を測定することができます。風呂に入ることができ、格闘技などの激しいスポーツを除き日常生活に支障が出ることはありません。
この器械で測定すると自分の食事のどんなものが血糖に影響するかがよくわかります。私も実際に装着して自分の血糖値を見てみましたが、私の場合は運動（ゴルフ）した時には食後の血糖の上昇はありませんでした。データを見ると運動の大切さを痛感しました。この器械は糖尿病の中等症以上の方やインスリン注射をしている方にお勧めしたいのですが、唯一の欠点は保険がきかないことです。すずきクリニックでは 8000 円の実費をいただいています。少し高額になりますが、中等度以上の糖尿病患者さんには強くお勧めいたします。
従来の代表的な便秘薬は２つあります。一つはマグネシウム剤です。マグネシウムは体に吸収されにくく、浸透圧により腸の中に水分を引き込み、便を柔らかくします。 もう一つは刺激性下剤です。腸の粘膜を刺激して排便を促すものです。この 2 種類が従来の便秘薬です。
2 年前に 30 年ぶりの便秘の新薬としてアミティーザという便秘薬が発売されています。この薬は腸管内にある受容体を刺激して腸管内に水分を分泌することと腸管の動きを改善することにより便秘を治療する新しい作用の便秘薬です。即効性はないので、ある一定期間継続することが必要です。
さらに今年になり便秘型過敏性腸症候群にだけ効果が認められる「リンゼス」という便秘薬が発売になりました。この薬もアミティーザと同様に腸管にある別の受容体を刺激して腸管内に水分を分泌し動きを強め便秘を解消します。アミティーザとの違いは大腸の過敏が原因の痛みを和らげる働きがあります。
その他大黄甘草湯や麻子仁丸などの漢方薬が効果のある場合があります。便秘にはいずれにせよ生活習慣の見直しは必要となります。
夏季休診のお知らせ
8 月 9 日（水曜日）から 16 日（水曜日）まで休診させていただきます。
すずきクリニック健康倶楽部 平成29年夏季号
毎日のように蒸し暑い日々が続き体調の維持に難しい季節です。梅雨が明けて本格的な夏の到来も間もなくと思いますが、毎年のように熱中症が話題になります。ご高齢になると家の中にいても熱中症の危険があります。温度管理をしっかり行い水分を十分にとりましょう
糖尿病患者さんへ
当院に通院している患者さんで糖尿病を有する患者さんは 150 人ぐらい数えられ、高血圧、脂質異常症、胃腸病に次いで多い疾患です。
私が開業した約 25 年前には、糖尿病治療薬といえばインスリン注射とＳＵ剤といわれる経口薬の 2 種類しかない時代でした。ところが 10 年ぐらい前に画期的な DPP-4阻害薬が発売され、また以前からあったビグアナイド薬が再び使われるようになるなど、現在では 7 種類の経口薬と、注射製剤もインスリンに加え GLP-１受容体作動薬が加わり 2 種類の注射薬が使われるようになりました。
色々な薬を駆使して、それぞれの患者さんに会った適切な治療をすることが求められます。糖尿病の検査は一般的には血糖値と HbA1c を測定し、糖尿病の重症度や治療効果を見ることにします。ところがこの検査だけでは一日の間に血糖値がどんな変動を示すかはわかりません。
そこで CGM という検査により 24 時間連続して血糖値を見ることができるようになりました。
この検査には優れたメリットが二つあります。ひとつは、沢山ある治療薬の特徴を実際の血糖値を見ながら実感できるようになることです。
もう一つのメリットはインスリン注射をしている患者さんの低血糖の予防です。昼間は低血糖の特徴である倦怠感、発汗、頻脈などの症状を自覚でき、砂糖を摂取するなど対処が可能です。一方、夜間睡眠中の低血糖は自覚できないことがあり、重篤な低血糖症状を引き起こして救急車で運ばれたり、時には命にかかわることもあります。この検査は夜間の血糖コントロールに大変威力を発揮します。
今までは、この検査をおこなうための施設基準を満たすことができず、一般の開業医にはやりたくともできない検査でしたが、最近新しい器械が開発され 24 時間血糖検査が簡易に出来るようになりました。大変な朗報です。
新しく開発された「リブレ」という器械は上腕部に直径３ｃｍぐらいで厚さ２ｍｍ程度の小さな器械を装着しますと 14 日間 15 分おきに血糖値を測定することができます。風呂に入ることができ、格闘技などの激しいスポーツを除き日常生活に支障が出ることはありません。
この器械で測定すると自分の食事のどんなものが血糖に影響するかがよくわかります。私も実際に装着して自分の血糖値を見てみましたが、私の場合は運動（ゴルフ）した時には食後の血糖の上昇はありませんでした。データを見ると運動の大切さを痛感しました。この器械は糖尿病の中等症以上の方やインスリン注射をしている方にお勧めしたいのですが、唯一の欠点は保険がきかないことです。すずきクリニックでは 8000 円の実費をいただいています。少し高額になりますが、中等度以上の糖尿病患者さんには強くお勧めいたします。
便秘の薬物治療はどうするか。（新しい便秘薬について）
従来の代表的な便秘薬は２つあります。一つはマグネシウム剤です。マグネシウムは体に吸収されにくく、浸透圧により腸の中に水分を引き込み、便を柔らかくします。 もう一つは刺激性下剤です。腸の粘膜を刺激して排便を促すものです。この 2 種類が従来の便秘薬です。
2 年前に 30 年ぶりの便秘の新薬としてアミティーザという便秘薬が発売されています。この薬は腸管内にある受容体を刺激して腸管内に水分を分泌することと腸管の動きを改善することにより便秘を治療する新しい作用の便秘薬です。即効性はないので、ある一定期間継続することが必要です。
さらに今年になり便秘型過敏性腸症候群にだけ効果が認められる「リンゼス」という便秘薬が発売になりました。この薬もアミティーザと同様に腸管にある別の受容体を刺激して腸管内に水分を分泌し動きを強め便秘を解消します。アミティーザとの違いは大腸の過敏が原因の痛みを和らげる働きがあります。
その他大黄甘草湯や麻子仁丸などの漢方薬が効果のある場合があります。便秘にはいずれにせよ生活習慣の見直しは必要となります。
夏季休診のお知らせ
8 月 9 日（水曜日）から 16 日（水曜日）まで休診させていただきます。
