2018年07月02日
すずきクリニック健康倶楽部 平成30年夏季号
このところ猛暑が続いています。早くも梅雨が明けて真夏に突入してしまったのではないかと思わせるお天気です。最近は春や秋の心地よい季節が短くなってしまった印象です。この時期はまだ体が暑さになれず、風邪をひく方が多いようです。高熱が出て、インフルエンザを疑わせるような症状の方もいます。うたた寝や、冷たいものの食べ過ぎに注意しましょう。
病気であって、病気でないような便秘。ほっておくと色々と障害が起こります。高齢者の方々には便秘でお悩みの方が多数います。若い方でも頑固な便秘でお困りの方がいます。私の経験でも最大 2 週間ぐらい便が出ないと訴えた方がいます。どうやって便がおなかの中に居座っているのでしょうか。不思議な感じがします。
便秘は女性のほうが多いのですが、年齢とともに増加する傾向があります。便秘症は原因から分類すると、器質性と機能性に分けられます。器質性の便秘には癌や炎症性腸疾患による狭窄を原因とするものなどがありますので、便が急に出づらくなった場合には隠れた病気がないかどうかをきちんと検査する必要があります。機能性便秘にも沢山の原因がありますが、硬便による排出困難、腹圧低下や直腸の感覚鈍麻、直腸筋の収縮力低下が代表的ですが、向精神薬、抗コリン薬、癌の痛みをとるための麻薬などによる薬剤性の便秘もあります。
通常摂取された食べ物は消化管の中を移動しながら消化、吸収が行われ、残ったものが便として排出されます。小腸、大腸の働きが弱くなると便の移動に時間がかかり、大腸を通る間に水分が余計に吸収され便が固くなり、通常の力では便の排出が困難になります。これが便秘です。
従来の便秘治療薬は、便の水分含有量を増やす酸化マグネシウムと、大腸の蠕動運動を強制的に強め、無理やり便を出すようにする「センナ」などのいわゆる便秘薬が使用されていました。ところが最近になって幾つかの今までにない作用機序の薬が開発され、より良い便の排出となることが期待されます。その一つの「アミティーザ」は一度健康倶楽部で取り上げたことがありますが、小腸に作用して水分の分泌を増やすことで、便を柔らかくして腸管内で便の移動をスムーズにし排便を促す薬です。ただこの薬は即効性が乏しく効果が出るのに 1 週間以上かかるのが欠点です。
次に発売された薬は「リンゼス」というお薬です。腹痛や腹部不快感を伴う便秘型過敏性腸症候群に効果のある便秘薬です。ストレスなどで腹痛や便秘が起こり、そのためにさらにストレスが増大しますが、痛みに過敏になっている神経の伝達をおさえ、腹部不快感を改善し便秘の解消に働くお薬です。
一番新しい便秘薬は「グーフィス」です。胆嚢に蓄えられる胆汁酸は食物脂肪の消化吸収に関与する物質です。胆汁酸は小腸で大部分が再吸収されますが、大腸に到達した胆汁酸は大腸管腔内への水分の分泌を増加させ便を柔らかくする働きがあります。「グーフィス」は小腸での胆汁酸の再吸収を阻止するために、大腸の入口の手前の小腸にある胆汁酸トランスポーターを阻害し胆汁酸の再吸収を減らします。大腸に移行した胆汁酸は二つの働きがあります。一つは腸管内に水分の分泌を促します。二つ目は大腸の口側で腸の動きを活発にし、肛門では肛門の筋肉を緩めます。この二つの働きにより便秘を改善させるのです。その他適宜漢方薬などを組み合わせて頑固な便秘を解消できるかもしれません。相談してください。
既に 74 歳以下の方のための特定健診と胃癌ハイリスク検診が始まっています。詳細はホームページをご覧ください。今年から秋に始まる胃癌検診にバリウム検査だけでなく胃カメラ検査が受けられるようになります。区の検診としては画期的なことと考えます。受診者はどちらの方法でも選択できますが、胃カメラはどうしても嫌だという方以外は胃カメラをお勧めします。そのほか当院では行っていませんが、乳がん検診、子宮がん検診などのがん検診が行われています。半日はかかりますが、癌は早期発見、早期治療が大事です。嫌がらず積極的に受けてください。
今年も 8 月 9 日(木)から 15 日(水)まで夏季休診とさせていただきます。よろしくお願いします。
普段の木曜、土曜日の担当医は院内掲示やホームページでお確かめください。
すずきクリニック健康倶楽部 平成30年夏季号
このところ猛暑が続いています。早くも梅雨が明けて真夏に突入してしまったのではないかと思わせるお天気です。最近は春や秋の心地よい季節が短くなってしまった印象です。この時期はまだ体が暑さになれず、風邪をひく方が多いようです。高熱が出て、インフルエンザを疑わせるような症状の方もいます。うたた寝や、冷たいものの食べ過ぎに注意しましょう。
便秘について
病気であって、病気でないような便秘。ほっておくと色々と障害が起こります。高齢者の方々には便秘でお悩みの方が多数います。若い方でも頑固な便秘でお困りの方がいます。私の経験でも最大 2 週間ぐらい便が出ないと訴えた方がいます。どうやって便がおなかの中に居座っているのでしょうか。不思議な感じがします。
便秘は女性のほうが多いのですが、年齢とともに増加する傾向があります。便秘症は原因から分類すると、器質性と機能性に分けられます。器質性の便秘には癌や炎症性腸疾患による狭窄を原因とするものなどがありますので、便が急に出づらくなった場合には隠れた病気がないかどうかをきちんと検査する必要があります。機能性便秘にも沢山の原因がありますが、硬便による排出困難、腹圧低下や直腸の感覚鈍麻、直腸筋の収縮力低下が代表的ですが、向精神薬、抗コリン薬、癌の痛みをとるための麻薬などによる薬剤性の便秘もあります。
通常摂取された食べ物は消化管の中を移動しながら消化、吸収が行われ、残ったものが便として排出されます。小腸、大腸の働きが弱くなると便の移動に時間がかかり、大腸を通る間に水分が余計に吸収され便が固くなり、通常の力では便の排出が困難になります。これが便秘です。
従来の便秘治療薬は、便の水分含有量を増やす酸化マグネシウムと、大腸の蠕動運動を強制的に強め、無理やり便を出すようにする「センナ」などのいわゆる便秘薬が使用されていました。ところが最近になって幾つかの今までにない作用機序の薬が開発され、より良い便の排出となることが期待されます。その一つの「アミティーザ」は一度健康倶楽部で取り上げたことがありますが、小腸に作用して水分の分泌を増やすことで、便を柔らかくして腸管内で便の移動をスムーズにし排便を促す薬です。ただこの薬は即効性が乏しく効果が出るのに 1 週間以上かかるのが欠点です。
次に発売された薬は「リンゼス」というお薬です。腹痛や腹部不快感を伴う便秘型過敏性腸症候群に効果のある便秘薬です。ストレスなどで腹痛や便秘が起こり、そのためにさらにストレスが増大しますが、痛みに過敏になっている神経の伝達をおさえ、腹部不快感を改善し便秘の解消に働くお薬です。
一番新しい便秘薬は「グーフィス」です。胆嚢に蓄えられる胆汁酸は食物脂肪の消化吸収に関与する物質です。胆汁酸は小腸で大部分が再吸収されますが、大腸に到達した胆汁酸は大腸管腔内への水分の分泌を増加させ便を柔らかくする働きがあります。「グーフィス」は小腸での胆汁酸の再吸収を阻止するために、大腸の入口の手前の小腸にある胆汁酸トランスポーターを阻害し胆汁酸の再吸収を減らします。大腸に移行した胆汁酸は二つの働きがあります。一つは腸管内に水分の分泌を促します。二つ目は大腸の口側で腸の動きを活発にし、肛門では肛門の筋肉を緩めます。この二つの働きにより便秘を改善させるのです。その他適宜漢方薬などを組み合わせて頑固な便秘を解消できるかもしれません。相談してください。
今年の検診について
既に 74 歳以下の方のための特定健診と胃癌ハイリスク検診が始まっています。詳細はホームページをご覧ください。今年から秋に始まる胃癌検診にバリウム検査だけでなく胃カメラ検査が受けられるようになります。区の検診としては画期的なことと考えます。受診者はどちらの方法でも選択できますが、胃カメラはどうしても嫌だという方以外は胃カメラをお勧めします。そのほか当院では行っていませんが、乳がん検診、子宮がん検診などのがん検診が行われています。半日はかかりますが、癌は早期発見、早期治療が大事です。嫌がらず積極的に受けてください。
夏季休診について
今年も 8 月 9 日(木)から 15 日(水)まで夏季休診とさせていただきます。よろしくお願いします。
普段の木曜、土曜日の担当医は院内掲示やホームページでお確かめください。